花巻温泉 佳松園
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岩手県花巻市湯本
TEL:0198-37-2170

岩手県の花巻温泉 佳松園に行ってきました。
オフィシャルページであなたと夏宵という、1日3室限定のふたりで50,000円の平日限定お得プランで予約。
この花巻温泉はかなり変わっていて、宿が5軒あるのですが、その全部を国際興業グループが経営している珍しい温泉地です。この情報は行くまでは知らずに、行って宿のパンフを見ていたら気付きました。まず花巻温泉街の門をくぐり抜けると、左手に大きなホテルがいくつか目に付きました。
それをちらちら流し目で見ながら運転してると、ホテル千秋閣の入り口に着物を着た女性が外に立っていて、出迎え専門の従業員が居たので競合の激しい温泉地なんだなぁと思いました。まさか全部身内だったとは^^;
さらに進んでいくと、その大きなホテル街から少し奥にいった所に佳松園はあります。

宿には14:45頃に到着。(イン15:00 アウト10:00)
茶寮宗園と同じくここも滞在時間が短めで、調べてみても東北地方の宿は全体的に滞在時間が短い宿が多いみたいです



佳松園の入り口は奥にあり駐車場が手前にたくさんあるので、わざわざ入り口まで行かずすぐに駐車場に車を止めました。僕はいつも10分以上前に到着して従業員が出てこない時は、チェックイン出来るか聞きに行くのですが、ここもいつも通り荷物を持たずに聞きに行ったら入り口付近を見ても人の気配がしない・・
いつもならこのクラスの宿に行くと車が着いた時点で中から走って出てきたりしてくれるのですが・・・
結局最初の自動ドアを抜けた時に初めて従業員に会って、チェックインOKということになり、カートで荷物を運んでもらいました。
やっぱり他の宿がやってることをやらないと、ちょっと不満に感じるかなぁ。

中に入るとまずロビーの椅子に座り、少し経つと係の方が来て部屋へ案内。

説明をちょこちょこ受けながら、進んでいきます。
歩いていて感じたのが、建物の造りというか雰囲気が茶寮宗園に似ていました。
通路や部屋からの庭園などにも力を入れていて、目指してる方向性は茶寮宗園と同じだと思います。



部屋へ着くとお茶を煎れてくれ、部屋の説明を丁寧に一通りしてくれます。
お茶が美味しかったので、写真を撮っておきました。
宿帳記入は部屋でやりました。


■部屋 90点
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部屋の広さは12畳+2畳くらいの広縁+4.5畳の踏み込み。



主室は12畳ですが、細長い造りでなんか狭く感じるので、寝そべってみたら170cm位しかない畳でした。
以前泊まったなごみ野もそうだったんですが、どうも細長い造りで狭く感じる所は畳が小さい傾向があります。あと細長い部屋だと畳以外の部分がかなり少なくなる事が多いような気がします。
対して前泊の山水閣のように横に広がる感じの部屋は、その分広縁も広くなったり、畳以外の床の間などの面積も増え、畳数以上に広さに違いがあると思います。
鍵はオートロックで、カードが2枚。岩手日報の新聞が朝夕届きます。
トイレはウオシュレットで、壁にボタンがたくさん付いていました。他に可愛らしいカレンダーもありました。




洗面は1つでしたが、アメニティーの量がかなり多いです。




檜の風呂も付いているのですが、温泉ではないので使いませんでした。




冷蔵庫ははっきり覚えていませんが、確か飲み物が数本入ってる程度だったかな。
眺望は宿の庭園が見えるのみ。
僕の泊まった部屋はあまり見通しが良くありませんでしたが、部屋によってはもっと良さそう。
夜には庭園のライトアップもされます。



掃除はどこも行き届いていましたが、座椅子が広縁に放置なので、片付けて欲し
いな。

防音は、外、隣室の音は全く気にならず。
上の階は、ドシンドシンと歩く音?が多少気になり、声は全然気になりませんでした。
後で係の方に聞いてみたら、上の階は全部団体客で、それが挨拶回りしたりしてうるさいのかもと。
試しに館内散策といっしょに上に行ってみたら、3部屋くらい離れたところから声が聞こえてくるわ、暴れてるような感じはするわでめちゃくちゃうるさかった。
それが下だとほとんど気にならないので、たぶん普通は問題ないと思います。
そうそう、ここの掛け布団、藤井荘のものと手触りや弾力がかなり似てました。これにさらに柄などにもこだわっているのが藤井荘の掛け布団です。

ここは高級感のようなものはあるのですが、なごみ野同様やっぱり部屋自体が狭く感じるのが・・
部屋って居心地の良さも重要だと思うので、料金も高いしやっぱり多少なりとも狭く感じるのはダメですね。
あとせっかくいい内風呂なのに温泉じゃないのが残念。温泉だったら満足度も変わってくるけど、温泉じゃない内風呂はいらないよなぁ。
僕はアメニティーとかほとんど気にしないし、部屋は前泊の山水閣の方がいいくらいでした。

■風呂 95点
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男女交替無しで、時間は忘れました。
内湯が1、露天が1、サウナもあります。造りは内湯は良くて、露天は普通かな。
露天のタマゴ型の風呂?は、あちこちで入ってるのでさすがに飽きてきた。
お湯は、入るとぬるぬるする感じのお湯で、肌もすぐにつるつるになります。最初入った感じは大沢温泉よりも気に入ったくらいなのですが、しばらく入っていると体に馴染んでいくのか、徐々に肌がつるつるする感じがしなくなっていくので、わずかな差だけどやっぱり大沢温泉の方がお湯は良いかな。露天と内湯では、ぬるぬる感は露天の方が強いと感じました。
サウナは6人か8人くらい入れる広さで、結構ゆったりしてます。ここの男性宿泊客はお年寄りが多く、僕以外サウナを使ってる人は見ませんでした。
カランは1列に点き4か5が4列あり、16か20ありました。1つ1つに仕切りがあって場所も多いので、周りは全然気にせずに使えます。石けん類は、資生堂の物でした。
脱衣所も広くて、バスタオルは使い放題。
脱衣所に冷水があったような気がしますが、うろ覚え。脱衣所を出てすぐのところには、麦茶と冷水が置いてあります。その左手に待合所がありますが、そこにマッサージ椅子2つとテレビがあり、庭園も眺められました。
円形になっていて、普通の旅館の待合所よりも凝っているようでした。
造りがなかなかで、お湯も高級旅館の割にはかなりいいのでかなり満足しました。
露天がもう少し良ければいうこと無しでした。。

■夕食 90点
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夕食は部屋食です。特別プランなので、通常プランに比べると料理の内容は若干落ちます。
最初に、食前酒、先付、前菜、鉢肴、造里が届き、その後は1品ずつ。
メニュー表の順番は、食前酒、先付、前菜、鉢肴、吸物、造里、温物、台物、酢肴、食事、水菓子です。
写真の関係で先付と鉢肴がくっついてしまうのと、届いた順番で造里と吸物は前後してました。
メニュー表は、和紙に金粉、銀粉まで付いています。今までメニュー表については何も書いてきませんでしたが、
25,000以上の旅館だとメニュー表に和紙を使う所が多いです。
運ぶペースは食べ終わって少し経つと来るくらいのペースで極端に遅いとかはありませんでした。
料理の説明も簡単ですがしてくれました。
夕食後、午後8時からロビーのところにある庭のかがり火が点灯します。どんな感じか見に行ったけど、昼間の雰囲気の方が好きだなぁ。




◎食前酒 
花巻温泉オリジナルワイン 花つぼみ


◎先付
じゃが芋ムース 鱶鰭ソース掛け

◎鉢肴
山菜,みず,辛子蒟蒻
まんぼう鮫の二色巻


山水閣に続いてここでもフカヒレが出ました。山水閣のフカヒレより美味かったと思います。
もうひとつはまんぼう鮫という、珍しい?食材。
ただ、味の方は普通かな。この2つは大体2万前後の宿が出すような味です。



◎前菜 
サザエと筍子の木の芽和え,
豚足煮凝り,
ひじき笹身ロール,
活蛸のマリネ,
小肌寿司笹巻

この中で一番良かったのはサザエの料理でした。
何個か料理がありますが、やはりこれも2万前後の宿の味かな。
煮凝りとかゼリー寄せ?の料理はあちこちで出るから比べやすいけど、貴祥庵とか宗園とかの方が美味いです。
豚足っていうのも影響してるかもしれないけど・・



◎吸物 
豆乳玉子豆腐,ジュン菜,鉤蕨

これは上品な味で結構美味しかったです。



◎造里
鮪,活鮑,鮃雲丹巻

山水閣と同じで一番印象に残ってるのが造里かな。
海から結構離れてるはずなのに普通の旅館よりも刺身が美味かったです。
鮑は少し前まで生きてたようだし、トロもウニも美味かったです。ただ、鮑は焼いた方が好きだな。



◎温物
鯛蕎麦蒸し,白髪葱,紅おろし

これは汁も大したことないし、具の方も・・・
クオリティが低かった。




◎台物
前沢牛と白金豚のしゃぶしゃぶ

以前牛肉のしゃぶしゃぶはあまり好きじゃないって書いたけど、豚はありかな。
豚だったら味もそんなに落ちないし。




◎酢肴
もずく,つらら海老,珊瑚海月,美味酢

これは酢の味もあまりしなかったし、美味しかった。僕は酢の物が嫌いだけど、これは美味しく食べられました。




◎食事
ひとめぼれ発芽玄米,漬物,汁

ご飯は普通。これって健康食品?だから、味どうこうは無いかな。
次の日の朝に白いご飯が出るのですが、出来れば逆にして欲しいな。
夜と朝のご飯の味って変わる所が結構あって、夜の方が美味いことが多いし。漬物はトマトにブルーベリーなど珍しかった。




◎水菓子
南部杜氏アイス,マスクメロン,無花果

料理長 山本 政明

料理って一番点数を付けるのが難しいんだよなぁ・・
上の感想を読んでもらえれば分かると思うのですが、造里・吸物・酢肴のように通年で出すものは美味しくて、先付・前菜・鉢肴・温物のように月替わりで変わる物はレベルが多少低かった。だから他の月に行ったとしても、大満足!っていう風にはならないかな。
ここもメニューは工夫しているようだし、量は普通で、味もある程度はおいしかったので一応満足にしましたが、
通常料金で泊まっていたらおそらく満足する所までは行ってないです。

ちなみに料理の味で10,000〜15,000の宿とか、2万前後の宿とかよく書いてますが、一応理由はあります。1〜2万円の宿は食事場所などでも左右されるので詳しくは書きませんが、2万以上になれば大体部屋か個室になります。
それで2万と25,000の宿の料理の違いは、料理の完成度の高さと上品な味がするかどうか。
上品な味が出始めるのが25,000辺りからです。
完成度の高さ(この料理はもっとおいしく作れるだろみたいな)は料理全般、上品な味が一番分かりやすいのは汁物(他でも判断してますが)。
佳松園はというと、するものもあればしないものもある。
だから料金的に味が普通で、31,500なら味にはやや不満となるわけです。
あと、どこどこの宿と同じくらいって書くのは、味付けも多少は覚えていますが、かしわや本店はするかしないか微妙な所=するものもあればしないものもあるって言うような情報を覚えておいて、
ここもそうだから佳松園はかしわや本店と同じくらいってなるわけです。
どちらもメニューに凝ってるし、味付け、料金も同じだから、両方夕食が90点になってるわけです。

■朝食 85点
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掲示板には確か90点て書いたと思いますが、ここが会場食なのを忘れてました。


行くと丸い籠のところだけ最初から用意してあり、紙が被せてありました。
焼き魚は鮭か柳カレイか選べ、飲み物は牛乳かリンゴが選べました。
で、僕が焼き魚を選んだのはもちろん柳カレイ。焼き方とかは上手だったし俵屋と同じくらいの味でした。
でもやっぱりかわせみとは全然違うので、かわせみは何か特殊なことをして作っていたのに初めて気付きました。
僕が好きな柳カレイはかわせみに行かないと食えないみたいです。
白いご飯は普通で、山水閣の夕食の米の方が美味しかったです。
丸い籠に入ってる料理ですが、いくらが乗ってる物、煮物(冷たくなった煮物じ
ゃなくて最初から冷たい煮物)などはちょっと手抜きっぽい味。
宿の朝食って夕食とは逆で、25,000の宿よりも2万くらいの宿の方がきちんと作る所が多い気がする。
朝食後にロビーで、コーヒー、オレンジ、リンゴなどの飲み物がサービス。


■従業員 95点
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この宿で何が一番印象に残ったかというと、接客でした。
係の方は、案内から夕食までと、次の日の見送りが担当です。
係に付いた方は45〜55くらいの方でしたが、出会った従業員はどちらかと言えば若い女性が多かったかな。
通路とかで何人かに会いましたが、笑顔で挨拶してきたり、お辞儀も上手だったり、よく教育されてるっぽいです。
(こう言う所は茶寮宗園も見習って欲しいな〜)でも飛び抜けてすごい人とかはいませんでした。
部屋係の方の接客の仕方は、藤井荘にそっくりでした。
自分から色々考えて行動し、細かい所までよく気が付きます。
例えば、部屋のところで上がうるさいと書きましたが、部屋に居着いてしばらく経った後なのに、部屋を移りますか?とか、それを断ると、寝る時だけでも別の部屋にしますか?の様なことを言ってくれました。結局は悪いので他の部屋は使いませんでしたが。その他にも色々と気遣ってもらいました。
とまあ、部屋係についてはよかったのですが、細かいことだけどちょっとムッときたことが・・
僕が朝食を食べに行った時、自分らの前に2組食べてました。自分らの後に途中で1組来て、計4組になりました。
その食事の途中、おそらく会場に来た順番に食後にロビーでコーヒーなどをサービスしてますとか言って回ってました。で、前の2組に説明が終わって、うちらの横に来て説明するのかと思えば、ちらっと見て素通り。
後に来た客には説明してました。
その時は、限定プランだから付かないのかぁと思っただけで何とも感じなかったのですが、
食べ終わって出口にいた男性従業員にごちそうさまでしたと言って部屋に戻ろうとしたら、ロビーでコーヒーなどをどうぞって。
全員に振る舞う物で自分たちだけ説明されなくて、悪く思わない客はいないと思うんですが・・・
ちなみに説明してたのは若い女性でした。
気になったのはこれと最初の出迎え無し&人気(ひとけ)無しくらいかなぁ。
見送りはきちんと外にまで出てきてくれました。


■感想
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僕が泊まった時期は、2人で63,000円が50,000円なので、かなりお得なプランでした。
でもそれでも全体的に見れば少し満足するくらいなので、格安プランだったらいいけど通常料金なら再訪は無いかなぁ。通常料金だったら、おそらく部屋・夕食・朝食が5点下がります。
ここは泊まってみて藤井荘を思い出したので、藤井荘(旅館)のホテルバージョンて言う感じでしょうか。
藤井荘の料理を少し悪くして、お湯をよくするとちょうど佳松園になります。
それか、戸倉上山田の笹屋ホテルの建物と料理を少し良くすると佳松園になるかな。
同じ東北の高級旅館・茶寮宗園と比べれば、佳松園で4万以上の部屋に泊まれば部屋は宗園より良くなるだろうけど、料理の味にかなりの開きがあります。
茶寮宗園で4万、佳松園で46,000で泊まったとして、料理と庭園と風呂の造りは宗園、部屋と接客とお湯は佳松園になるかな。

※いつもご覧になってる方は気付いてるかもしれませんが、高級旅館になるほど全体的に点数は低めです。
でも、僕の点数は金額に対しての満足度なので、例えば15,000円くらいの宿より内容が劣ると言うことではありません。僕の料金が高いと感じるのが、1泊25,000円あたりからなので、これ以上の金額のところは点数が厳しくなります。
実際に1泊4万のところに1泊するよりも、1泊2万のいい所に2泊した方が満足度は高いですから。

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